性感染症を放置するとどうなるの?

ウィルス

性感染症とは性交によって病原微生物がパートナーとの間で媒介され伝染する病気のことです。
ウイルスや細菌、真菌の感染によって起こりますが、その中でも特に近年先進国内でも感染率が高まっているのがHIVというウイルスによる感染症です。
このウイルスは体液、特に精液や膣分泌液に接触することによって伝播するものです。
ヒトの体内に侵入すると免疫を司る白血球に感染します。
そのことでHIV感染者の免疫力は非感染者に比べ弱くなり本来罹らないはずの病気にまで罹ってしまいます。
高齢者に多い感染症に罹った若い人の血液を調べたら抗HIV抗体が検出されてなるほど、となることもあるのです。

HIV感染は本人とそのパートナーだけの問題ではありません。
母体から血流を受けて育つ子宮の中の胎児にまでその影響は及びます。
母子感染を起こすと、生まれてきた子供にも免疫に異常を認めます。
もともと免疫力があまり高くない胎児はただでさえ様々な病原体の感染に敏感であるにも関わらずHIVによってさらに免疫が低下した場合、性感染症に関わる病原体だけでなく様々な病原微生物の垂直感染を招きやすくなります。
結果、先天性トキソプラズマ症などによって生後ハンデを負うことにもなりかねません。

HIVに関わらず、性感染症は放置して良いものではありません。
性器周辺にイボのようなものが出来る場合や、排尿痛を感じるに留まることなど、自覚に乏しく本人に致命な影響を与えることは少ないのです。
しかし、性感染症によって性器周辺が炎症を起こし不妊となったり、病原微生物が体の各所に広がることによって本人や胎児に重篤な影響をもたらす場合があります。
例えば梅毒、というらせん状の形状をした細菌による感染症では、放置の末重態となると病原微生物である梅毒スピロヘータが脳にたどり着きます。
脳に定着した梅毒は神経を障害し、やがて梅毒性の認知症になってしまうリスクすらあるのです。
梅毒は現代では治療可能な疾患になりましたが、かつては有効な治療法がなく、現在のアルツハイマー型認知症以上に梅毒性の認知症が市井にはあふれていたと言います。

また、ヒトパピローマウイルスというウイルスによる性感染症は女性の子宮の入り口にイボを形成し、やがて癌になってしまうこともあります。
これが今話題となっている子宮頸癌です。
たかだか腫れやおりもの、と決して侮ってはいけません。
気づかないうちに性感染症はあなたを蝕んでいくのです。

性感染症になるとHIVの感染率が高まる

性感染症になると、粘膜の表面にイボや出血を来たすことがあります。
これは、本来外界と隔絶されているはずの血流と外界が接触している、皮膚や粘膜によるバリアを欠いた状態、つまり病原体の体内への侵入を起こしやすい状態であると言えます。
これを放置することは極めて危険なのです。

前述の通り、HIVは体液を介して感染する病原体です。
男性の精液、女性の膣分泌液に含まれるウイルス粒子は性交の際の擦過による傷から体内に侵入するとも言われていますが、性感染症によって皮膚に湿疹や潰瘍を持っている場合、通常よりさらに感染の危険性は高まると言っていいでしょう。
特に女性は性感染症に敏感でなくてはなりません。
女性の膣は男性の陰茎とは異なり、外界に接した生殖器ではありません。
つまり、洗いづらく常に分泌液によって保潤されているために細菌などの増えやすい環境と言えるのです。
病原体はたった一つの細菌やウイルス粒子で感染症を起こすわけではありません。
数が大きくなってくると、より悪性が高まり、個体に対して害をなすのです。
少しでもいつもと違う、変だと思ったら病院を受診することが本人、パートナーの双方を守る方法です。恥ずかしがらずに受診しましょう。